慶應義塾大学 Keio STAR(Sustainable and Transformative Actions for Regeneration)は、下記の会員企業の皆様にご参加いただき、活動を開始いたしました。

<幹事会員>
アスエネ株式会社
データセクション株式会社
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

<コミュニティ会員>
日本航空株式会社
日本電気株式会社
株式会社みずほフィナンシャルグループ
(敬称略・五十音順)

活動開始にあたり、2025年8月22日、慶應義塾大学三田キャンパス北別館にてキックオフイベントを開催し、ディスカッションを行いました。イベントでは「ビヨンドSDGs」をテーマに、グローバルリーダーシップ、オープンイノベーション、ビジネスとSDGsの観点から、3つのセッションが実施されました。

セッション1:「Global Leadership of Tomorrow ビヨンドSDGs時代のグローバルリーダーシップ」

登壇者: 村井純氏(慶應義塾大学特任教授)、Cynthia Hansen氏(The Adecco Group)、Jemilah Mahmood氏(Sunway Centre for Planetary Health)
モデレーター: 稲蔭正彦氏(Keio STAR所長、慶應義塾大学大学院教授)

本セッションでは、SDGsのその先を見据えたグローバルリーダーシップのあり方が議論されました。村井氏が提唱する「サイバー・シビルゼーション」という概念は、物理空間とデジタル空間が融合した新しい文明を提示し、リーダーにはこの2つの領域を繋ぐ能力が不可欠であると説きました。Hansen氏は「scan, build, scale」という具体的なモデルを提示し、「接続性」と「協調性」がリーダーに求められる資質であることを強調しました。Mahmood氏は、現代の複雑な課題を解決するためには「道徳的な勇気」と「システム思考」、そして「デジタル・リテラシー」が重要であると述べました。

未来のグローバルリーダーは、特定の専門分野に留まるのではなく、技術、社会、倫理の交差点に立つことが求められます。各登壇者の話は、「つながり」「協力」「全体的な思考」という共通のテーマを浮き彫りにしました。従来の階層的なリーダーシップから、より分散的で協力的なネットワーク型のモデルへのパラダイムシフトが示唆されたセッションでした。

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セッション2:「オープンイノベーションと慶應IOI」

登壇者: 菊川人吾氏(経済産業省)、和田茂己氏(日本電気株式会社)、西和田浩平氏(アスエネ株式会社)
モデレーター: 芦澤美智子氏(Keio STAR副所長、慶應義塾大学大学院准教授)

本セッションでは、日本のイノベーションエコシステムにおける産官学連携の現状と課題が多角的に議論されました。スタートアップの役割について、西和田氏はアスエネの事例を挙げ、スタートアップが市場を創造し、既存産業に変革をもたらす推進力であることを示しました。大企業の立場からは、NECの和田氏が、新規事業創出やCVC活動における課題として、スタートアップを「調達先」ではなく、新たな事業創出の「協業先」として捉えていく社内の意識改革の必要性を指摘しました。政府の役割について、菊川氏は、政府は直接的なイノベーションの担い手ではなく、「民間が活動しやすい環境整備」が役割であると述べ、日本のスタートアップをグローバル市場に送り出す戦略を強調しました。

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セッション3:「ビジネスチャンスとしてのビヨンドSDGs」

登壇者: 二宮雅也氏(日本民間公益活動連携機構(JANPIA)理事長)、石原紀彦氏(データセクション株式会社)、川廷昌弘氏(ビヨンドSDGs官民会議事務局長)
モデレーター: 蟹江憲史氏(Keio STAR副所長、慶應義塾大学大学院教授)

このセッションでは、SDGsのその先にある「ビヨンドSDGs」をビジネスの観点から捉えることが議論されました。川廷氏が事務局長を務める「ビヨンドSDGs官民会議」が、2027年の提言採択に向けて、具体的なワークショップや日本全体の取り組みとして推進していく計画が共有されました。これは一部の有識者だけでなく、日本中の多様なアクターを束ねる重要なプロセスです。二宮氏は、経団連がSDGs推進に貢献してきた経緯を振り返りながら、経済界のビヨンドSDGs目標設定における役割の重要さを説くとともに、JANPIAのような組織との連携可能性についても触れました。休眠預金等活用制度は、企業とソーシャルセクターの連携を推進するプラットフォームとして、またJANPIAは、その連携実現への「触媒役」として貢献していくことを強調しました。石原氏は、AIのサステナビリティについてのKeio STARとの共同研究構想を掲げ、こうした研究こそがビヨンドSDGsの重要な示唆を導くことを具体的に示しました。

ビヨンドSDGsは、単なる社会貢献活動ではなく、新たなビジネスチャンスの源泉であることが明確になりました。官民連携による具体的な動きが進む中で、企業は持続可能な社会の実現に向けて積極的に関与することが求められます。提言の実現に向けて、国内全体での協業が重要であり、そのプロセス自体が新たな価値を生み出すという視点が提示されました。

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